片麻痺とは、一側性にみられる上下肢の運動麻痺のことで、いわゆる半身不随の状態といえます。片麻痺は脳血管障害(脳出血や脳梗塞)によるものがもっとも多く、高齢化社会になって脳梗塞後のマヒやしびれ、脳の機能低下で悩んでいられる人は非常に増えています。今日は、片麻痺について学んでいきます。
『脳の左右のどちらかに障害が起きたあと、手足・体幹・顔面の一側に麻痺が起こり、身体の片側半分が上手く動かなくなること』です。
脳は左右で能力が異なります。また左脳の障害を持つと右片麻痺になり、右側の障害を持つと左片麻痺になります。右片麻痺にも左片麻痺にも共通して起こる症状が 麻痺側半身の運動障害や痺れ、記憶障害、 空間の認知障害などです。片麻痺は左右どちらかの脳の障害によって起きるため、右脳と左脳では症状に差が出ます。
右片麻痺になると、言葉と関係する脳の障害が起き「失語症」を伴います。
『失語症』とは、「聞く・話す・文字を書く・読む」という事全てに障害があらわれる症状のことをいいます。
言語中枢と失語症を発症するパーセンテージには 利き手が大きく関わっているようです。
・右利き→言語中枢の99%が左脳に存在
・左利き→言語中枢の50%が左脳に存在
以上のことからも、片麻痺が右片麻痺にあらわれた方が失語症になる確率は非常に高く、実際に失語症は右片麻痺の方に多いのだそうです。
左片麻痺になると、病態失認・左半身空間無視・注意障害・身体失認を伴います。
左片麻痺の特徴は、空間がわからなくなることです。右側の脳は“左右に注意をする”能力を持っています。これに対し、左側の脳は“右側オンリー”にしか注意を向ける事が出来ません。
例えば、左片麻痺では、食事をしていても、空間の一部がきえてしまいますので、このように左側にある物体をとらえることができません。食事のお膳全体を見渡すと、左側にあるリンゴが分らないのです。またそれぞれのお椀や皿の左側にある食べ物がわからなくなります。このように、それぞれの食べ物の中でも、左側が消えてしまいます。
これは大変危険なことなのです。
まず自分の体の左半分がわかりません。
だから、いま、自分の左側の服がどうなっているか気をつけることができませんし、左足がどこにあるかわかりません。ですから車いすなどを使う時は十分注意して介護をすることが必要です。
片麻痺は、ただ片手片足が動かないだけではなく、バランスをとることも難しくなります。
麻痺側は筋力、支持力も低下するので、脱臼に注意が必要です。
運動障害になると排泄に関する症状が起こりやすくなってきます。(排尿が困難になったり、失禁、便秘…など)また、その障害の程度によって移動が困難になります。他にも知覚障害を起こしたり、 心理的な影響をもたらします。このように、外から見えない障害に常に配慮する必要があり、症状は障害によって、さまざまなのでその人、その人の障害を理解することが必要です。